太い篠竹はいっぱいあるよ!
毎年12月に入ると篠竹刈に行ってきますが、篠笛に最適な篠竹はそう沢山あるわけではありません。
ほとんどが太すぎるもの 細過ぎるもの、または節間が短いものです。
そのような中でも 超太物で 篠笛になりそうなものを選んでみました。
制作した篠笛は唄用七孔 六本調子 藤皮半総巻き仕立て、そしてでき上がった篠笛の形状は以下のとおりです。
- 唄口周りの直径が26~26.5mm
- 菅尻周りの直径が22.5~23mm菅尻周りの直径が22.5~23mm
- 全体の長さが約50cm全体の長さが約50cm
写真上(太もの)写真下(通常なもの)
本来であれば全体の長さが41cmくらいあれば十分ですが 、 管が太い分、全体の長さが短くなり、見た目のバランスが良くないので唄口から管頭の部分を14cmと長くしました。すると良い感じに出来上がりました 。
太っちょ、でも楽器だよ!
さて、出来上がった太もの篠笛 は民芸品ではありません。あくまでも楽器ですので音色や吹き易さを確認する必要があります。
その結果は・・・ 上々なでき上がり。
太いだけに丸やかで深みのある音色、吹き易さについても通常のものと比べても全く違和感がありません。軽く吹いても良く鳴ります。ピッチもバッチリ良い感じの上出来です。
但し太いだけに大甲音は3までですが2オクターブ以上は楽にだせます。
試し吹き
私は生まれも育ちも南相馬ですが相馬と言えば、相馬野馬追いと相馬民謡。古くから民謡が盛んなところで す。
そんなこともあり、民謡の尺八や篠笛を吹いておりました 。しかし民謡の伴奏となると全国の色々な民謡を知り覚える必要があります。
特に九州地方では宮崎県の民謡が大好きで、よく「刈り干し切り唄」や「ひえつき節」等を吹いておりました。
そこで早速「ひえつき節」を試し吹きに選んでみました。
ひえつき節
「 庭の山椒の木 なる鈴かけて」と歌い出しの「ひえつき節」は宮崎県東臼杵郡椎葉村に伝わる民謡です。
元々はひえを臼に入れ杵で付く時の作業唄で、農民が重労働を少しでも癒すために歌っていたようです。
更に平家の落人伝説によると、源平合戦で敗れた平家の落人がこの秘境 地に住付き、その20年後に平家の落人狩りを命じられた源氏の那須の大八と平家の鶴富姫とのロマンスが 伝えられており、それが歌詞に盛り込められ全国的にヒットした民謡です。
太もの篠笛大好きな人集まれ
(上 太もの・眞風作 下 一般的な 蘭情作)
当工房ではご希望であれば太もの篠笛の製作もしております。
吹き方については通常の篠笛とは全く違いはありません。
良く篠笛が太くなると息が大変、肺活量が必要ではと聞かれますが全く関係がありません。
軽く吹けば吹く程、柔らかく丸みのある音色が楽しめます。
篠笛大好き人な人には是非お勧めの一品です。